『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』

サリー・ルーニー 著、山崎まどか 訳『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』を読む。ピントを合わせるのが難しいほど多層的で複雑だけど、確かな強度のある感情のかたちや揺らぎが、会話やテキストメッセージの空気を通じて表層しているとても興味深い物語だった。作者は1991年生まれ。新しい世代のテキストという感じ。

作家志望のフランシスはかつての恋人のボビーと共にダブリンの大学に通う21歳。ふたりで舞台に立つスポークン・ワードのパフォーマンスに注目したジャーナリストのメリッサとその夫で俳優のニックとふたりは関係を深めていく。

自分の気持ちを懸命に見つめ、できるだけまっとうに、より懸命に生きようとするけど、その姿勢が真摯であるほど多様性に挑戦する現代では自己が分裂していってしまう。ではどうやって生きていけばいいのだろう?

「自尊と卑下」「知性と野性的な激しさ」「主体性と洗練されたコミュニケーション」「社会性とコントロールできない自我」。コントロールを失いながらも悪人も含めたすべての人に対する愛について思考しつづけるフランシスを見て、「生きる」とは相容れなさを抱えながら、迷い思考し続けその都度判断しながら生きていくしかないのだ、と痛烈に思い知らされる。

まじかよ大体そうかなと思ってたけど、かなりしんどいなー。でも、そこにのみ思考する人間の繊細さを救えるやり方があるのかもしれない。大変だけど考え続けるしかないのだ、と鼓舞される小説だった。

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