8リットルの大ジョッキ

川崎駅に来たのはもう2年ぶりだ。感染症が流行して、飲食店での会食が感染拡大の原因だって言われて、そうかと思い大人しく過ごしていたがもう限界だった。駅から5分ほど歩いたところにある赤提灯のドアをくぐる。

ここは何を頼んでもおいしい。店員さんの気配りも効いている。大声を上げなくても少し店内を見回すだけでスッと注文を取りに来てくれるのが心地よい。里芋の唐揚げと豚モツの串、イカの刺身、それに生大。揚げ出し豆腐も良かったな、とオーダーしてから気付くが、また後で頼めばいい。

前回ここに来たのは感染症で人口が半分になる前だった。とは言えそのころから、もうずっと飲みに行くのは一人だった。20代のころ、平日24時の集合でもかまわず毎日のように飲みに行っていた仲間たちは結婚し、子供を持ち、もう夜の街には出てこなくなってしまった。

たまにLINEはしているが、国民のメンタルヘルスを保つため死亡者の人格をbotが引き継ぐことを政府が正式承認した今、テキストを打っているのが生身の人間なのかどうか、もう確認する術はない。

イカの刺身と生大がカウンターに置かれる。8リットルの大ジョッキは、何度見ても慣れることができない。人口が激減し、それでも収益を上げなければいけない飲食店が客単価を上げるためには仕方ない。とは言え、この大きさを見ると、300mlしか入らないような中ジョッキってなんだったんだろうと思う。納得いかないのはつまみの大きさが変わらないこと。そのおかげで、揚げ出し豆腐を心置きなく追加で注文できるのだけど。

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やりたいことを「まあこのご時世ですし」と諦めることが多く、それを繰り返していたら気持ちが小さくなっちゃったというか、欲望を焚きつけて遊ぶのが圧倒的に下手になった気がする。空想の中でならば何をしても良いのだから、じゃあそれを書いてみて、火種を育ててみたら何かしらの火力が得られるかな?と考えた。これはうそ日記。noteでもアカウントを分けて、気が向いたときに書いてみようと思います。上手にうそが書けるだろうか。

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