『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』

サリー・ルーニー 著、山崎まどか 訳『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』を読む。ピントを合わせるのが難しいほど多層的で複雑だけど、確かな強度のある感情のかたちや揺らぎが、会話やテキストメッセージの空気を通じて表層して…

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誰かと時間を共にすることについて。 『体の贈り物』を読む。

18で実家を出るまで祖父母とも一緒に暮らしていた。夕食後、たびたび肩を揉んでいた。実際はへたくそだったと思う。でも祖母は、「うまいねえ」といつも褒めてくれて、ぼくは気を良くして毎晩「今日もやるかい?」と声をかけていた。 …

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もう無くなってしまったものの話。『越後三面山人記』を読む。

ヤマケイ文庫『新編 越後三面山人記 マタギの自然観に習う』を読んだ。ダム湖に沈んだとある山里の習俗を描いた民俗学的要素の強い作品で、これがとても面白かった。既にこの世界から無くなってしまったものが、この本の中に残されてい…

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「常識」が、誰かにとっては残酷なものであること。村田沙耶香『殺人出産』を読んだ。

「正しさ」を言葉で刺し殺すような小説だった。 村田沙耶香の短編集『殺人出産』を読んだ。 Amazon.co.jpの詳細ページへ » 表題作『殺人出産』。セックスが純粋に快楽のためのものになり、人口が減っていく…

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『能町みね子のときめきサッカーうどんサポーター』、略して 能サポ(講談社文庫)を読んだ。

能町さんの、なんでもちゃんと面白がって眺めるスタンスとってもいいな。見習いたいし、かくありたし。 能町みね子『能サポ』を読んだ。 能町さんが仕事の関係上サッカー観戦に行かされ、なんとなくカマタマーレ讃岐(という香川県のサ…

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ラッタウット・ラープチャルーンサップ 著、古屋 美登里 訳『観光』を読んだ。

タイの若手作家による英語圏での注目作品、ということで期待値高めで読んでみた。短編集。巧みに構成された冷静な文章運びで描かれるタイの日常が新鮮でした。 とにかく巧い作家だなー。欧州等々では観光地としてしか見えていなかったタ…

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ロベルト ボラーニョ 著、柳原孝敦・松本健二 訳『野生の探偵たち』を読んだぞ。

上下巻で800ページ超なり。長くて分かりづらかった!でも、何が書いてあるのか考えながら読む楽しみが強烈にある小説でした。ボラーニョ、ほかのも読んでみたいな。 Amazon.co.jpの詳細ページへ »

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レベッカ・ブラウン 著、柴田元幸 訳『犬たち』を読んだぞ。

一人暮らしの部屋に突然現れた雌犬。その存在を受け入れ暮らしを続ける女性だったが、生活は今までの形からどんどん離れて行く。翻訳はご存知、柴田元幸先生。不可解なシーンや追い込まれて行く女性の精神を描写するのは詩を思わせるよう…

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ジョイス・キャロル・オーツ 著、栩木玲子 訳『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』を読んだ。

ジョイス・キャロル・オーツを読むのは初めてです。訳者あとがきによると、ジョイス・キャロル・オーツは大変多作な作家だそう。日本でも色々なアンソロジーに収録されているけれども、作家の作品だけがまとまった短編集としては本作と『…

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ルイス・セプルベダ 著、河野万里子 訳『カモメに飛ぶことを教えた猫』を読んだ。

銀色のカモメが墜落したハンブルクのとある家には、一匹の黒猫ゾルバがいた。「わたしが産む卵は食べないと、約束して下さい」「そして、ひなが生まれるまで、卵のめんどうをみて下さい」「最後に、ひなに飛ぶことを教えてやると、約束し…

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