やめた。

春菜は「両親をBリーグの試合観戦に誘うこと」をやめた。春菜にとって、839個目のやめたことだった。 最初に約束していたのは春菜だった。仲が悪いわけではないわりに共通の話題が少なかった両親と、地元に出来たバスケットボールチ…

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これまでと同じこと

歩は褒められるのが好きだった。子供の頃からその場で求められていることを察知して、誰よりも早くやり遂げることが好きだった。だからいつも集団の中では頼られたし、それを自慢に思っているふしが歩にはあった。 恋愛においてもそうだ…

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ミニスナックゴールド

ミニスナックゴールドは決意した。必ずや、スナックゴールドとなることを心に決めた。スナックであることを誰よりも考え続けたミニスナックゴールドである。スナックにかけては当代一であった。それ故にミニスナックゴールドは自ら思い切…

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実感

大学時代の友人が語る「仕事」がぜんぜんわからなくなってしまった。スタートアップをいくつか渡り歩いたKはCXOなどという肩書だし、大きな会社で心折れずに勤め続けているOは担当課長になったらしい。課長となにが違うんだろうか。…

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みかんの香りをかぐたびに、デミオ

実家に帰り、デミオに乗る。2003年くらいのモデルだから、20年弱前の車だ。オレンジ色で、純正のエアロパーツがついていて、チョロQみたいなフォルムでかわいい。父が所有していたが、あまり乗らないのでここ10年ほど借りていた…

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8リットルの大ジョッキ

川崎駅に来たのはもう2年ぶりだ。感染症が流行して、飲食店での会食が感染拡大の原因だって言われて、そうかと思い大人しく過ごしていたがもう限界だった。駅から5分ほど歩いたところにある赤提灯のドアをくぐる。 ここは何を頼んでも…

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