レベッカ・ブラウン 著、柴田元幸 訳『犬たち』を読んだぞ。

一人暮らしの部屋に突然現れた雌犬。その存在を受け入れ暮らしを続ける女性だったが、生活は今までの形からどんどん離れて行く。翻訳はご存知、柴田元幸先生。不可解なシーンや追い込まれて行く女性の精神を描写するのは詩を思わせるような端正な言葉たちで、書かれている情景の混沌っぷりと文章の清清しさの対比が好みだったなあ。

犬たち

  • 著者/訳者:レベッカ・ブラウン
  • 出版社:マガジンハウス( 2009-04-23 )
  • 単行本:243 ページ
  • ISBN-10 : 483871971X
  • ISBN-13 : 9784838719716

雌犬を作者の恋人(あるいは近しい存在としたかった他社)、と読み替えると誰かと生活を共にすることの困難さが浮き彫りになるようなお話。その先にレベッカ・ブラウンはカタルシスを残していて、血やアルコール、汗の臭いでむせ返るような本編を読み続けて来たにも関わらず、うそのようなすっきりとした読後感でした。

 こうして埋められていたことが掘り出され、語りえないことが語られると、解放があった。彼女は両手で私の顔を包んだ。私は頭を垂れて、目を閉じ、泣いた。
 私は思い出したゆえに泣き、語られたことゆえに泣いた。ふたたび成ったものゆえ、死んでいたものを生に戻したゆえに私は泣いた。

レベッカ・ブラウン 著、柴田 元幸 訳『犬たち』(マガジンハウス)P.236

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