映画『桐島、部活やめるってよ』見た。

全員に物語があり、全員が自分を保つために戦っている。それはスクールカーストの「上」から俯瞰したからといって全体像を捉えられるものでもないし、「下」だからと言って特別な物語としての強度が得られるわけでもない。青春映画にも関わらず、青春の多様性を一本化はできないことをしっかりと描いており好感(特に沙奈の描写がムカつくくらい素晴らしい!)。

鑑賞後に読んだ原作では、宏樹は映画部の前田涼也に「ひかり」を見出したまま終わっているけれど、映画版ではその「ひかり」は一瞬にして消える。宏樹は桐島に変わる新しい神を前田に見出そうとしたが、この映画は前田にある一言を語らせることで、それを許さなかった。

だからこそ、宏樹が自分から他者に働きかけるエンディングシーンには美しさを感じました。大きな物語に依存することと、身近な人と交流を図りながら自分の物語をサバイブしていくことの対比、みたいに観たんだけど、あのラストをみんなはどう思ったのかたいへん気になります。

あと、話題になっていた中森明夫の批評まとめ、鑑賞後に読んだけれど、桐島をキリストと評し、神の登場を待ち続ける梨紗は「ゴトーを待ちながら」であるという指摘には膝を打ちました。待つ、という状態の異常さに注目するのって色々気にしておきたい視点。

いろいろ書いたけど印象に残ったのは橋本愛の演じるかすみの可愛さ!映画では、なにを考えているのかわかりづらくて好きになりきれなかったかすみの、その姿勢のきっかけになった出来事が原作では書かれてるのも面白かったなー。かすみが選んだのは、好きなものを守るためにバランス感覚を研ぎ澄まして行く生き方なのかな、とか。映画→原作の順が個人的にはオススメです。