ダルちゃん

花椿で連載している『ダルちゃん』を楽しみに読んでいる。

ほんとうはダルダル星人であるところのダルちゃんが丸山さんとして「ふつうのOL」に擬態しながら生活をしていく話。直近の29話目は、ヒロセとのセックスの後、ダルちゃんは詩のことばを手に入れた、という展開。

こう書くと、どういう話なんだよという感じだが、性別などの属性によって期待されるあるいは押し付けられる振る舞いで自分を構成するのではなく、信頼できる相手と自然体のまま関係性を構築することを通じて自分自身のアウトラインを逆説的に捉えること、その過程にセックスと言葉があった、ということが描かれていた。

作中に登場するスギタのように、相手を記号として自分本位に消費するような関係性しか持てない状態というのは、属性による振る舞いを内面化しすぎた結果であり、環境に対する過剰適応であり、自分自身を捉えられていないが故に外的刺激を消費してしまう状態なのかな、と思う。

この感情はどんな手触りなのか、あるいはこの経験で得た物語がどのような大きさでこのわたしはどの範囲までならば受け止め得るのか、ひいてはわたしとはどのようなからだを有し何を背負い得るのかを考えること、抽象的なものごとを身体性を伴ないながら扱うわたしという存在の有限性とオリジナリティ、みたいなところに意識が向くか否かということは、つくづく難しいことなんだなあ。

ぼくが本作で好きなシーンは、会社の屋上でサトウさんがダルちゃんに「貸してしんぜよう」と笑顔で詩集を渡すところ。ことばを渡せるなんて本はまじ便利である。

ダルちゃん – 花椿 – 資生堂
http://hanatsubaki.shiseidogroup.jp/comic2/

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