東京は夜の七時

リオパラリンピック閉会式の映像を見ていたらピチカートファイブの《東京は夜の七時》が聞こえてきた。次回パラリンピック開催地である東京のプレゼンテーションのために椎名林檎がアレンジし歌詞を変え、《東京は夜の七時 -リオは朝の七時-》として使用したらしい。小西康陽が元ネタにしたと思われる矢野顕子《東京は夜の7時》の時差を題材にした歌詞の精神も、きっと下敷きになっているのだろう。歌唱は長岡亮介(a.k.a. ペトロールズ、浮雲)。いい声。アーバンで憂いのある、優しい歌になっていました。

原曲のリリースは1993年。年代的にぼくは中学生のころ既に耳にしていたはずだけど、ピチカートファイブの曲として認識したのは高校生になってから。いま思うと『あこがれの東京』が表現されたアイコンのひとつとして消費していたのだと思う。「トーキョーは夜の七時」で「あなたに逢いたい」と繰り返す歌詞はとてもキャッチーで、地元のクラブでかかると嬉しくてニヤニヤしながら踊っていた記憶がある。記号的に消費している精神性がダサい…。でもぼくにとってあの瞬間はオシャレでグルーヴィーで最高にハッピーな瞬間だったんだよ!!!早くあなたに逢いたい!イェーイェーイェー、フゥ~!!!(フロアから合いの手を入れながら両手を掲げ天井を仰ぎ見る)

改めて《東京は夜の七時》の歌詞を見ると、「とても淋し」くて「逢いたい」のに「あなた」には最後まで逢えない歌なのだとわかる。「待ち合わせたレストランは もうつぶれてなかった」。思い出の場所も(人も)時が来れば消えていく。この曲で歌われてたのは、バブル崩壊後の喪失感をも内包した経済都市東京のクールさだったのかな。本当にキラキラしているのはいつも今しかないし、物語の一回性に対して自覚を持っているということは理性的でとてもチャーミングだ。好きな歌だなと思う。

リオパラリンピック閉会式で使われた《東京は夜の七時 -リオは朝の七時-》はポジティブな歌だった。印象に残ったのは「世界中がいがみ合っても あなたはひとり生きている」というフレーズ。そんなあなたに「早く」「逢いたい」と歌う。「トーキョー」は今はまだプレゼンテーションで示されたようなクールで自由な場所には成り切れていないけど、そう在りたいという願いはあって、だからきっとそこで逢おうねと約束しているようで、その寄る辺なさと力強さがゆえに泣けてくるプレゼンテーションでした。

過ぎてしまった時間の上にある『今』を歌ったピチカートファイブの《東京は夜の七時》と、今を積み重ねてたどり着きたい『未来』を歌った《東京は夜の七時 -リオは朝の七時-》。ある時代を切り取ったポップソングが、新しい時代の祈りで紡ぎ直され存在し続けていくのって、なんだかおもしろいなーと思ったのでありました。

NHKによる映像はブログへの埋め込みができないみたい。なのでパラリンピック 東京プレゼンテーションはYoutubeへのリンクで。今回のオリンピックパラリンピックはNHKのアプリで競技動画などが観れて気軽で楽しかったなー。
http://www.youtube.com/watch?v=78Nhl85_wIY

ピチカートファイブの《東京は夜の七時》MV。サブタイトルは ”The Night Is Still Young.”

矢野顕子、若い!大村憲司のギターかっこいい。

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