三重県立美術館『丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展』、表現の純度がどんどん高まって最後に独特な線だけが残った、みたいな様子が、結果的になんだか詩そのものという感じでとても良かった。

三重県立美術館で開催中の『丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展』へ。

現リトアニアの地でユダヤ系の家系に生まれたベン・シャーンは、パリのシーンに触れるも「自分の求めている芸術はここにはない」と判断、社会批判的性格の強い作品を経て、写真、壁画、雑誌の挿絵、レコードジャケット、グラフィック・アートと幅広い分野を横断しながらアメリカで芸術活動を続けた。

若い頃の写実的、肉感的な絵画から独特の線(これがカッコいいんだ)で描かれたグラフィックに移行していく様を順に見ていくと、余計なものがそぎ落とされていく切実さ、気持ちよさがある。表現の純度がどんどん高まって線だけが残った、みたいな様子が、なんだか詩そのものという感じがして、とても良かった。

リルケ《マルテの手記》を基にした版画集《一遍の詩のためには……》は70歳の作品。ベン・シャーンが《マルテの手記》に出会ったのは彼が28歳の頃。芸術家として40年以上の経験を積んでから若かりし頃に感銘を受けた作品と改めて向き合ったいう事実も、ポエジーに満ち溢れていて最高だ。

冤罪事件を扱った作品など、ベン・シャーンのグラフィックには、悪事に関わった人間をしっかりと「悪い奴」として描こうとしているかのような素朴さがある。一方で炭坑夫などの労働者を描いたスケッチでは、真面目な目つきやしたたかさを掬い取ろうとしているようなまなざしが感じられる。彼の、見えているものを見えているままに描いているかのような作風が、ぼくはとても好きだなと思った。

夜は選挙特番を見て酒を飲んで寝た。

三重県立美術館
『丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展』
会期:2016年7月9日(土)-9月25日(日)
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/000182365.htm

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